演奏不安・ジストニアよ、さようなら
音楽家のための神経学
自分をコントロールできなくなるのは、なぜ?
音楽家が自分をコントロールできないときには往々にして、メンタル面や演奏局所に目を向けがちであり、意識的な対策に拘泥してしまう。原因がわからない疾患の要因は神経系に目を向けることが肝要。その理由を最新の「ポリヴェーカル理論」や心理療法を用いて説明する。不安障害、フォーカルジストニア、イップスなど器質的に問題のない症状改善のトラブルシューターの本。
音楽家が自分をコントロールできないときには往々にして、メンタル面や演奏局所に目を向けがちであり、意識的な対策に拘泥してしまう。原因がわからない疾患の要因は神経系に目を向けることが肝要。その理由を最新の「ポリヴェーカル理論」や心理療法を用いて説明する。不安障害、フォーカルジストニア、イップスなど器質的に問題のない症状改善のトラブルシューターの本。
はじめに
第1章 音楽家が抱える問題 自分をコントロールできない
1 本番が怖い あがりとステージ恐怖症
2 演奏部位を動かせない フォーカルジストニア
指のジストニアの病理/歌手の発声障害/スポーツにおけるイップス
3 がんばって克服しよう 熱心に練習に取り組む
4 自制が効かなくなる うつ病やアルコール依存症など
第2章 心理と身体を理解する神経学 「ポリヴェーガル理論」
1 恐怖で動けなくなる反応がある
自律神経の基本的な考え方
2 「ポリヴェーガル理論」と神経について
自律神経は三階層/ポージェス博士について/迷走神経とは/神経の基礎知識/脳神経について/大脳皮質と脳幹
3 自律神経の三つの階層
(1)安全なとき 腹側迷走神経系~社会交流システム
腹側迷走神経系の働き/見る、聞く、声と生理状態/顔と心臓をつなぐ腹側迷走神経複合体/ヴェーガル・ブレーキについて/呼吸性洞性不整脈(RSA)
(2)危険なとき 交感神経系~可動化
交感神経系が亢進すると/環境のリスク評価(ニューロセプション)/聴覚の重要性
(3)極度の恐怖状況のとき 背側迷走神経系~不動化
消化器と背側迷走神経複合体/あがりとステージ恐怖症/自制が効かなくなる――依存症/ステージ恐怖症の本質/恐怖が大きくなるわけ
4 ポリヴェーガル理論で身体を理解する
出来事よりも反応―正しい反応をする/自律神経と免疫系・内分泌系―恒常性と疾病/迷走神経刺激療法/恐怖なき不動化―オキシトシン
5 動きの神経制御
姿勢と動きのコントロール/動きを身につける/演奏の神経制御
6 音楽と脳
よいフローと危険なフロー/音楽療法が効くわけ/音楽と脳波
7 䚡弓から発声へ
第3章 音楽家の脳に隠れている傷 歌や演奏を防げるもの
1 音楽家が受ける心理的な傷
2 記憶にないトラウマ
3 脳に閉じ込めた傷み
4 意識しないところから起こる症状
不安感/予期不安/思考の混乱/身体がかたまる、すくむ/身体感覚の意識過剰/回避/解離
似た状況で誘発される/さらなる心理的不安
5 知っておきたい心理的な障害
社交不安障害/パニック障害/滑らかに話せない(吃音)/インポスター症候群/急性ストレス障害/心的外傷後ストレス障害 /愛着障害/摂食障害
6 意識的なコントロールは効果がない
第4章 音楽家のためのリラクゼーション 心と身体のレッスン
1 音楽家の回復とは
ひとりの人間として回復する/レジリエンス(回復力)/ソマティック心理学の展開/脳の神経可塑性について
2 リラックスの方法
1―心、思考から
あがりを受け入れる/自分を思いやる―「自己受容」/期待を手放す/親を許す/完璧主義を脱する/崇高さ、大きなもの
音楽/自然/善き心への共感
2―呼吸から
あがったら深呼吸はしない/落ち着ける呼吸/呼吸のメカニズム/口呼吸を防ぐ
呼吸レッスン ①息止めテスト ②軽い息止めレッスン ③鼻づまり向けレッスン ④小さい呼吸レッスン ⑤うつぶせ寝 ⑥ウォーキングでの呼吸レッスン ⑦咽頭の動きを見る
3―感覚から
聴覚/ハミング/視覚(視覚遠近法)
触覚 手/左右交互刺激/リラックスしたときの体の変化
過去のいい体験の感覚/肩凝りテストとリンパドレナージュ
4―動きから
笑顔 顔からリラックス――目で左右交互刺激
姿勢 立位/座位
座って姿勢ストレッチ/ゆっくり動く/楽器でゆっくり動く――差異化/歩く
5―自分でできるトラウマ療法
①身体の安定スポット(ボディ・リソース)をみつける ②さらに安定する ③「セルフ・ゲイズ・スポッティング」
6―食事、睡眠から
食生活/睡眠
第5章 音楽家たちの症例 見えない心理的負担に潜む病い
1 27年間ステージ恐怖症だったバーブラ・ストライサンド
2 拒食症で早世したカレン・カーペンター ――スターのメンタルケア
3 腱鞘炎で100以上もの公演をキャンセルしたランラン
4 大ブレークしたら吃音が直ったスキャットマン・ジョン
5 うつ病になり何度も休養したホロヴィッツ
あとがき
第1章 音楽家が抱える問題 自分をコントロールできない
1 本番が怖い あがりとステージ恐怖症
2 演奏部位を動かせない フォーカルジストニア
指のジストニアの病理/歌手の発声障害/スポーツにおけるイップス
3 がんばって克服しよう 熱心に練習に取り組む
4 自制が効かなくなる うつ病やアルコール依存症など
第2章 心理と身体を理解する神経学 「ポリヴェーガル理論」
1 恐怖で動けなくなる反応がある
自律神経の基本的な考え方
2 「ポリヴェーガル理論」と神経について
自律神経は三階層/ポージェス博士について/迷走神経とは/神経の基礎知識/脳神経について/大脳皮質と脳幹
3 自律神経の三つの階層
(1)安全なとき 腹側迷走神経系~社会交流システム
腹側迷走神経系の働き/見る、聞く、声と生理状態/顔と心臓をつなぐ腹側迷走神経複合体/ヴェーガル・ブレーキについて/呼吸性洞性不整脈(RSA)
(2)危険なとき 交感神経系~可動化
交感神経系が亢進すると/環境のリスク評価(ニューロセプション)/聴覚の重要性
(3)極度の恐怖状況のとき 背側迷走神経系~不動化
消化器と背側迷走神経複合体/あがりとステージ恐怖症/自制が効かなくなる――依存症/ステージ恐怖症の本質/恐怖が大きくなるわけ
4 ポリヴェーガル理論で身体を理解する
出来事よりも反応―正しい反応をする/自律神経と免疫系・内分泌系―恒常性と疾病/迷走神経刺激療法/恐怖なき不動化―オキシトシン
5 動きの神経制御
姿勢と動きのコントロール/動きを身につける/演奏の神経制御
6 音楽と脳
よいフローと危険なフロー/音楽療法が効くわけ/音楽と脳波
7 䚡弓から発声へ
第3章 音楽家の脳に隠れている傷 歌や演奏を防げるもの
1 音楽家が受ける心理的な傷
2 記憶にないトラウマ
3 脳に閉じ込めた傷み
4 意識しないところから起こる症状
不安感/予期不安/思考の混乱/身体がかたまる、すくむ/身体感覚の意識過剰/回避/解離
似た状況で誘発される/さらなる心理的不安
5 知っておきたい心理的な障害
社交不安障害/パニック障害/滑らかに話せない(吃音)/インポスター症候群/急性ストレス障害/心的外傷後ストレス障害 /愛着障害/摂食障害
6 意識的なコントロールは効果がない
第4章 音楽家のためのリラクゼーション 心と身体のレッスン
1 音楽家の回復とは
ひとりの人間として回復する/レジリエンス(回復力)/ソマティック心理学の展開/脳の神経可塑性について
2 リラックスの方法
1―心、思考から
あがりを受け入れる/自分を思いやる―「自己受容」/期待を手放す/親を許す/完璧主義を脱する/崇高さ、大きなもの
音楽/自然/善き心への共感
2―呼吸から
あがったら深呼吸はしない/落ち着ける呼吸/呼吸のメカニズム/口呼吸を防ぐ
呼吸レッスン ①息止めテスト ②軽い息止めレッスン ③鼻づまり向けレッスン ④小さい呼吸レッスン ⑤うつぶせ寝 ⑥ウォーキングでの呼吸レッスン ⑦咽頭の動きを見る
3―感覚から
聴覚/ハミング/視覚(視覚遠近法)
触覚 手/左右交互刺激/リラックスしたときの体の変化
過去のいい体験の感覚/肩凝りテストとリンパドレナージュ
4―動きから
笑顔 顔からリラックス――目で左右交互刺激
姿勢 立位/座位
座って姿勢ストレッチ/ゆっくり動く/楽器でゆっくり動く――差異化/歩く
5―自分でできるトラウマ療法
①身体の安定スポット(ボディ・リソース)をみつける ②さらに安定する ③「セルフ・ゲイズ・スポッティング」
6―食事、睡眠から
食生活/睡眠
第5章 音楽家たちの症例 見えない心理的負担に潜む病い
1 27年間ステージ恐怖症だったバーブラ・ストライサンド
2 拒食症で早世したカレン・カーペンター ――スターのメンタルケア
3 腱鞘炎で100以上もの公演をキャンセルしたランラン
4 大ブレークしたら吃音が直ったスキャットマン・ジョン
5 うつ病になり何度も休養したホロヴィッツ
あとがき