演奏不安・ジストニアよ、さようなら

音楽家のための神経学

音楽家に生じる様々なトラブルの解消法を「ポリヴェーガル理論」と心理療法を援用してわかりやすく説く。症状改善のノウハウ満載。

著者 新堂 浩子
ジャンル 心理 > 心理学一般
音楽書 > 演奏・鑑賞
出版年月日 2022/03/17
ISBN 9784393938010
Cコード 0073
判型・ページ数 A5・176ページ
定価 2,420円(本体2,200円+税)
在庫 在庫あり
自分をコントロールできなくなるのは、なぜ?

音楽家が自分をコントロールできないときには往々にして、メンタル面や演奏局所に目を向けがちであり、意識的な対策に拘泥してしまう。原因がわからない疾患の要因は神経系に目を向けることが肝要。その理由を最新の「ポリヴェーカル理論」や心理療法を用いて説明する。不安障害、フォーカルジストニア、イップスなど器質的に問題のない症状改善のトラブルシューターの本。
はじめに

第1章 音楽家が抱える問題 自分をコントロールできない
 1 本番が怖い あがりとステージ恐怖症
 2 演奏部位を動かせない フォーカルジストニア
    指のジストニアの病理/歌手の発声障害/スポーツにおけるイップス
 3 がんばって克服しよう 熱心に練習に取り組む
 4 自制が効かなくなる うつ病やアルコール依存症など

第2章 心理と身体を理解する神経学 「ポリヴェーガル理論」
 1 恐怖で動けなくなる反応がある
    自律神経の基本的な考え方
 2 「ポリヴェーガル理論」と神経について
    自律神経は三階層/ポージェス博士について/迷走神経とは/神経の基礎知識/脳神経について/大脳皮質と脳幹
 3 自律神経の三つの階層
   (1)安全なとき 腹側迷走神経系~社会交流システム
    腹側迷走神経系の働き/見る、聞く、声と生理状態/顔と心臓をつなぐ腹側迷走神経複合体/ヴェーガル・ブレーキについて/呼吸性洞性不整脈(RSA)
   (2)危険なとき 交感神経系~可動化
    交感神経系が亢進すると/環境のリスク評価(ニューロセプション)/聴覚の重要性
   (3)極度の恐怖状況のとき 背側迷走神経系~不動化
    消化器と背側迷走神経複合体/あがりとステージ恐怖症/自制が効かなくなる――依存症/ステージ恐怖症の本質/恐怖が大きくなるわけ
 4 ポリヴェーガル理論で身体を理解する
    出来事よりも反応―正しい反応をする/自律神経と免疫系・内分泌系―恒常性と疾病/迷走神経刺激療法/恐怖なき不動化―オキシトシン
 5 動きの神経制御
    姿勢と動きのコントロール/動きを身につける/演奏の神経制御
 6 音楽と脳
    よいフローと危険なフロー/音楽療法が効くわけ/音楽と脳波
 7 䚡弓から発声へ

第3章 音楽家の脳に隠れている傷 歌や演奏を防げるもの
 1 音楽家が受ける心理的な傷
 2 記憶にないトラウマ
 3 脳に閉じ込めた傷み
 4 意識しないところから起こる症状
    不安感/予期不安/思考の混乱/身体がかたまる、すくむ/身体感覚の意識過剰/回避/解離
    似た状況で誘発される/さらなる心理的不安
 5 知っておきたい心理的な障害
    社交不安障害/パニック障害/滑らかに話せない(吃音)/インポスター症候群/急性ストレス障害/心的外傷後ストレス障害 /愛着障害/摂食障害
 6 意識的なコントロールは効果がない

第4章 音楽家のためのリラクゼーション 心と身体のレッスン
 1 音楽家の回復とは
    ひとりの人間として回復する/レジリエンス(回復力)/ソマティック心理学の展開/脳の神経可塑性について
 2 リラックスの方法
   1―心、思考から
    あがりを受け入れる/自分を思いやる―「自己受容」/期待を手放す/親を許す/完璧主義を脱する/崇高さ、大きなもの
    音楽/自然/善き心への共感
   2―呼吸から
    あがったら深呼吸はしない/落ち着ける呼吸/呼吸のメカニズム/口呼吸を防ぐ
    呼吸レッスン ①息止めテスト ②軽い息止めレッスン ③鼻づまり向けレッスン ④小さい呼吸レッスン ⑤うつぶせ寝 ⑥ウォーキングでの呼吸レッスン ⑦咽頭の動きを見る
   3―感覚から
    聴覚/ハミング/視覚(視覚遠近法)
    触覚 手/左右交互刺激/リラックスしたときの体の変化
    過去のいい体験の感覚/肩凝りテストとリンパドレナージュ
   4―動きから
    笑顔 顔からリラックス――目で左右交互刺激
    姿勢 立位/座位
    座って姿勢ストレッチ/ゆっくり動く/楽器でゆっくり動く――差異化/歩く
   5―自分でできるトラウマ療法
    ①身体の安定スポット(ボディ・リソース)をみつける ②さらに安定する ③「セルフ・ゲイズ・スポッティング」
   6―食事、睡眠から
    食生活/睡眠

第5章 音楽家たちの症例 見えない心理的負担に潜む病い
 1 27年間ステージ恐怖症だったバーブラ・ストライサンド
 2 拒食症で早世したカレン・カーペンター ――スターのメンタルケア
 3 腱鞘炎で100以上もの公演をキャンセルしたランラン
 4 大ブレークしたら吃音が直ったスキャットマン・ジョン
 5 うつ病になり何度も休養したホロヴィッツ

あとがき

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