未聴の宇宙、作曲の冒険
独自の作曲観をもって未聴域の音楽を志向する二人の作曲家による対話集。音楽創造の現在を照射する作曲家の営み――それは既成の音楽観・書法・哲学に拠るものではなく、常に新しい創造へと向かってこそ、その真価が問われる。創造することの意味を根源的に問いつつ、今なお旺盛な作曲活動を展開する両者。実験工房(1950年代)以来、明確な創作意図を持って、ユニ-クな作品を陸続と発表してきた湯浅譲二の作曲の核心は、未聴の音響世界を構築することにある。他方、2世代後の西村朗は、独自のヘテロフォニー技法を駆使して、優れて独創的かつ革新的な音響を放ってきた。ポスト・タケミツの世界的実力派の旺盛な創作力は、留まることを知らない。……かくて、西洋と東洋、伝統と前衛の確執の中で、作曲家の営みはどうあるのか、創造の現場からの生々しいディアローグ。