モーツァルト 愛と死 Ⅰ
マリアに抱かれし人びと
《ハ短調ミサ曲》はなぜ未完に終わったのか。モーツァルトの愛と祈りの軌跡――「書簡」の丹念な読解から見えてくる新たな人間像と生涯のトピックス。音楽創造の背景に潜む謎。アロイジアとコンスタンツェをめぐる虚々実々の人間模様が大胆かつ詳らかに描かれる。
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まえがき
序 章 わが心の誓い 《ハ短調ミサ曲》の地平
1.作曲動機をめぐって
1 作曲動機に関する通説
2 「ミサ曲」空転の予兆
3 作曲動機の変容
4 「ミサ曲」中断の背景
2.帰郷
1 モーツァルトのためらい
2 連鎖する病いの影
3 ライムント・レオポルトの誕生と死
3.ミサ曲創作の周辺
1 楽想の転回
2 ニ短調カルテットの相貌
4.ザルツブルクの90日
1 ナンネルの日記帳から
2 自筆譜は語る
3 「クレド」のつまずき
4 モーツァルト家の家訓
5 わが子の宿命を前に
5.信仰と音楽
1 〈安息〉の声に引き寄せられて
2 家庭紛議のあとさき
3 ザルツブルクでの補筆
6.「ミサ曲」上演まで
1 ソルフェッジョの夕べに
2 聖ペーター大修道院付属教会での演奏事情
7.キリエ コンスタンツェへの贈りもの
1 キリエの門
2 キリストへの視線
8.グローリア 芸術的衝動と宗教的感情
1 Gloria
2 Laudamus te
3 Gratias
4 Domine
5 Qui tollis
6 Quoniam
7 Jesu Christe
8 Cum Sancto Spiritu
9.ノン・フィニートのままに
1 教会に響いた歌声
2 自筆譜の消息
10. ミサのあとで
註
――PARTⅠ 愛と祈りのロンド――
第1章 アロイジア慕情
1. アロイジアとヴェーバー一家
2. 青春のうずき
3. パリの憂愁
4. 歌唱法の美学 音楽と言葉
5. レオポルトの思惑
6. 反発
7. アロイジアの翻意
8. ストラスブールの風
1 モーツアルトの経済状態
2 投宿したホテル
3 ストラスブールで出会った人たち
4 モーツァルトが開催した演奏会
5 〈ストラスブール体験〉で得たもの
註
第2章 ザルツブルクからウィーンへ
Ⅰ 《サンクタ・マリア》の祈願
1 ミサ聖祭と教会
2 演奏場所と作曲動機
3 ザルツブルク離職事情
4 旅の日のアンナ・マリア
5 求職活動、最初のつまずき
6 《サンクタ・マリア》に込められた心情
Ⅱ 二つのミサ曲
1. 《戴冠式ミサ曲》(K317)
1 マンハイム=パリからの帰還
2 ザルツブルクのミサ曲
3 楽曲構成と表現意図
2. 《ミサ・ソレムニス》(K337)
1 アロイジアの結婚
2 楽曲構成と表現意図
3 「愛の神」に祈る
Ⅲ さらば、ザルツブルク
1 確執のはじまり
2 孤立
3 堪忍袋の緒
註
第3章 愛の懊悩
Ⅰ アロイジア変貌
Ⅱ 愛の奏楽《フィガロの結婚》
1. 愛のかたち
2. 愛のドラマトゥルギー
1 伯爵夫人の<カヴァティーナ>と<レチタティーヴォとアリア>
2 スザンナの<レチタティーヴォとアリア>
3 バルバリーナの<カヴァティーナ>
4 スザンナと伯爵夫人の<小二重唱>
5 ケルビーノの<アリア>
6 ケルビーノの<アリエッタ>
7 フィガロの<レチタティーヴォとアリア>
8 フィガロとスザンナの<二重唱>
3.〈愛〉と〈願い〉のフィナーレ
Ⅲ アロイジアとコンスタンツェ
1. アロイジアがオペラ配役を外された理由
2. プフベルク宛書簡のミステリー
3. パートナーシップの危機
4. コンスタンツェの振舞いを諫める書簡
5. コンスタンツェのバーデン滞在
6. コンスタンツェの事情
7. 歌に託して ――愛の昇華
8. 誓い
註
第4章 創造をめぐる三つのトピックス
Ⅰ モーツァルトの音楽美学
1 音楽の役割
2 音楽と言葉の関係
3 芸術美の文明史
4 バッハとモーツァルト
5 モーツァルトのオペラ観
6 《後宮からの脱出》のオペラトゥルギー
7 共同精神としての啓蒙思想
Ⅱ 自由への飛翔 ――フリーメーソン・サークルにて
1 フリーメーソンの由来
2 モーツァルトの入会
3 ゲミンゲンという人物
4 各都市でのフリーメーソン活動
5 ザルツブルクのフリーメーソン
6 フリーメーソン思想と音楽
7 〈フリーメーソン記念帳〉
8 フリーメーソンの音楽
9 モーツァルトのフリーメーソン作品
Ⅲ 〈ハ短調〉の告白 ――クラヴィーア協奏曲(K491)の楽器法
1 作曲の背景
2 自筆譜の空隙と調の選択
3 苦悩と動揺の影に ――第1楽章
4 心のディアローグ ――第2楽章
5 〈神の意志〉へのヴァリエーション ――第3楽章
註
第5章 コンスタンツェの選択 ――1791年、バーデン療養の謎
Ⅰ 手紙の解読
1. モーツァルトからコンスタンツェ宛書簡の解釈
2. コンスタンツェの返信
3. バーデンとはいかなるところか
4. コンスタンツェはいつまでバーデンに滞在したか
5. バーデン滞在の同伴者
6. モーツァルトはバーデン療養を容認していたか
7. コンスタンツェはバーデンでどう過ごしたか
Ⅱ 逡巡する魂 ――バーデン行きの目的と理由
Ⅲ 病いの正体
1. カルテなき所見
2. 1791年、バーデンの夏
3.期待と諦念
註
第6章 天上の陰影 ――《アヴェ・ヴェルム・コルプス》
1. 歌詞テキストの変更
2. 音楽の構成
1 「めでたしまことの御体」
2 「苦しみを受け」
3 「御脇腹は刺し貫かれ」
3. キリスト教における「水」の意味
4. 音楽と象徴
1 「大量の血を流された」
2 「あらかじめ知らしめよ」
5. 死と試練
6. 祈り 「きみが健やかでさえあれば」
註
[付録]ミサ通常文/主日のミサの構成
序 章 わが心の誓い 《ハ短調ミサ曲》の地平
1.作曲動機をめぐって
1 作曲動機に関する通説
2 「ミサ曲」空転の予兆
3 作曲動機の変容
4 「ミサ曲」中断の背景
2.帰郷
1 モーツァルトのためらい
2 連鎖する病いの影
3 ライムント・レオポルトの誕生と死
3.ミサ曲創作の周辺
1 楽想の転回
2 ニ短調カルテットの相貌
4.ザルツブルクの90日
1 ナンネルの日記帳から
2 自筆譜は語る
3 「クレド」のつまずき
4 モーツァルト家の家訓
5 わが子の宿命を前に
5.信仰と音楽
1 〈安息〉の声に引き寄せられて
2 家庭紛議のあとさき
3 ザルツブルクでの補筆
6.「ミサ曲」上演まで
1 ソルフェッジョの夕べに
2 聖ペーター大修道院付属教会での演奏事情
7.キリエ コンスタンツェへの贈りもの
1 キリエの門
2 キリストへの視線
8.グローリア 芸術的衝動と宗教的感情
1 Gloria
2 Laudamus te
3 Gratias
4 Domine
5 Qui tollis
6 Quoniam
7 Jesu Christe
8 Cum Sancto Spiritu
9.ノン・フィニートのままに
1 教会に響いた歌声
2 自筆譜の消息
10. ミサのあとで
註
――PARTⅠ 愛と祈りのロンド――
第1章 アロイジア慕情
1. アロイジアとヴェーバー一家
2. 青春のうずき
3. パリの憂愁
4. 歌唱法の美学 音楽と言葉
5. レオポルトの思惑
6. 反発
7. アロイジアの翻意
8. ストラスブールの風
1 モーツアルトの経済状態
2 投宿したホテル
3 ストラスブールで出会った人たち
4 モーツァルトが開催した演奏会
5 〈ストラスブール体験〉で得たもの
註
第2章 ザルツブルクからウィーンへ
Ⅰ 《サンクタ・マリア》の祈願
1 ミサ聖祭と教会
2 演奏場所と作曲動機
3 ザルツブルク離職事情
4 旅の日のアンナ・マリア
5 求職活動、最初のつまずき
6 《サンクタ・マリア》に込められた心情
Ⅱ 二つのミサ曲
1. 《戴冠式ミサ曲》(K317)
1 マンハイム=パリからの帰還
2 ザルツブルクのミサ曲
3 楽曲構成と表現意図
2. 《ミサ・ソレムニス》(K337)
1 アロイジアの結婚
2 楽曲構成と表現意図
3 「愛の神」に祈る
Ⅲ さらば、ザルツブルク
1 確執のはじまり
2 孤立
3 堪忍袋の緒
註
第3章 愛の懊悩
Ⅰ アロイジア変貌
Ⅱ 愛の奏楽《フィガロの結婚》
1. 愛のかたち
2. 愛のドラマトゥルギー
1 伯爵夫人の<カヴァティーナ>と<レチタティーヴォとアリア>
2 スザンナの<レチタティーヴォとアリア>
3 バルバリーナの<カヴァティーナ>
4 スザンナと伯爵夫人の<小二重唱>
5 ケルビーノの<アリア>
6 ケルビーノの<アリエッタ>
7 フィガロの<レチタティーヴォとアリア>
8 フィガロとスザンナの<二重唱>
3.〈愛〉と〈願い〉のフィナーレ
Ⅲ アロイジアとコンスタンツェ
1. アロイジアがオペラ配役を外された理由
2. プフベルク宛書簡のミステリー
3. パートナーシップの危機
4. コンスタンツェの振舞いを諫める書簡
5. コンスタンツェのバーデン滞在
6. コンスタンツェの事情
7. 歌に託して ――愛の昇華
8. 誓い
註
第4章 創造をめぐる三つのトピックス
Ⅰ モーツァルトの音楽美学
1 音楽の役割
2 音楽と言葉の関係
3 芸術美の文明史
4 バッハとモーツァルト
5 モーツァルトのオペラ観
6 《後宮からの脱出》のオペラトゥルギー
7 共同精神としての啓蒙思想
Ⅱ 自由への飛翔 ――フリーメーソン・サークルにて
1 フリーメーソンの由来
2 モーツァルトの入会
3 ゲミンゲンという人物
4 各都市でのフリーメーソン活動
5 ザルツブルクのフリーメーソン
6 フリーメーソン思想と音楽
7 〈フリーメーソン記念帳〉
8 フリーメーソンの音楽
9 モーツァルトのフリーメーソン作品
Ⅲ 〈ハ短調〉の告白 ――クラヴィーア協奏曲(K491)の楽器法
1 作曲の背景
2 自筆譜の空隙と調の選択
3 苦悩と動揺の影に ――第1楽章
4 心のディアローグ ――第2楽章
5 〈神の意志〉へのヴァリエーション ――第3楽章
註
第5章 コンスタンツェの選択 ――1791年、バーデン療養の謎
Ⅰ 手紙の解読
1. モーツァルトからコンスタンツェ宛書簡の解釈
2. コンスタンツェの返信
3. バーデンとはいかなるところか
4. コンスタンツェはいつまでバーデンに滞在したか
5. バーデン滞在の同伴者
6. モーツァルトはバーデン療養を容認していたか
7. コンスタンツェはバーデンでどう過ごしたか
Ⅱ 逡巡する魂 ――バーデン行きの目的と理由
Ⅲ 病いの正体
1. カルテなき所見
2. 1791年、バーデンの夏
3.期待と諦念
註
第6章 天上の陰影 ――《アヴェ・ヴェルム・コルプス》
1. 歌詞テキストの変更
2. 音楽の構成
1 「めでたしまことの御体」
2 「苦しみを受け」
3 「御脇腹は刺し貫かれ」
3. キリスト教における「水」の意味
4. 音楽と象徴
1 「大量の血を流された」
2 「あらかじめ知らしめよ」
5. 死と試練
6. 祈り 「きみが健やかでさえあれば」
註
[付録]ミサ通常文/主日のミサの構成