バッハと対位法の美学
バッハを「音楽の父」にしたのは誰か――?
18世紀ドイツ音楽美学のダイナミズムを精緻な分析によって紐解く
バッハといえばフーガ――
こうした結びつきはバッハが生きていた当時
現代のように自明のものではなかった。
18世紀を通してバッハの音楽がどのように理解され
「対位法の巨匠」として称揚・顕彰されていったか――
そのメカニズムを、同時代の音楽美学を丹念に読解することによってあぶり出す。
新進気鋭のバッハ研究者による快著!
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本書が問いたいのは、一八世紀における…バッハの音楽受容の背後にどのような音楽美学、対位法観が働いていたのか、ということである。…バッハが対位法の巨匠としてその理論的側面が強調されるに至ったのは、…バッハの弟子たちの著述活動に負うところが大きかった…彼らはなぜ、どのような美学的背景のもとでバッハのそのような音楽家像を打ち立てようとしたのか…さらに言えば、彼らの前後の時代に他の理論家、批評家が対位法全般、あるいはバッハの対位法についてどのような思考を巡らせていたのか。これらを明らかにしていくことによって、一八世紀におけるバッハと対位法をよりよく理解できるだろう。(序論より)
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●本書は電子版もございます。
序論
1 一八世紀とバッハの対位法
2 一八世紀において対位法とは何だったか
3 本書の構成
第1章 ハイニヒェン 数学的音楽観としての対位法を批判する
1 数学的音楽観の黄昏、ギャラント概念の台頭
2 一八世紀前半の対位法批判
3 対位法理論からの脱却――ベルンハルトとハイニヒェン
4 「規則からの逸脱」を正当化する趣味
5 バッハのギャラントな音楽?
第2章 マッテゾン 対位法をめぐる伝統と革新
1 バッハとマッテゾン、二人の巨人
2 「旋律論」とは何か
3 自然と技巧――「カノンの解剖学」
4 自然と数学――『完全なる楽長』
5 旋律論と対位法理論
6 バッハからマッテゾンへの応え
第3章 マールプルク 「ドイツ、フーガ、バッハ」を語る
1 バッハを崇拝するベルリンの音楽家たち
2 「ドイツ、フーガ、バッハ」のトポスの形成
3 フーガの普遍性の提起
4 ドイツ性と普遍性の交点
5 トポスのゆくえ
第4章 キルンベルガー バッハの作曲技法を継承する
1 『純正作曲の技法』、あるいはバッハの作曲技法
2 「純正」とは何か
3 「表現の多様性」と教会旋法
4 「表現の多様性」と四声書法
5 教会旋法と過去の教会音楽の探究
第5章 ライヒャルト バッハ批評の異端児
1 疾風怒濤時代のライヒャルトとゲーテ
2 バッハ評の意義と射程
3 バッハ評とゴシック
4 「真の教会音楽」への憧憬
5 ロマン主義的バッハ解釈へ
第6章 ネーゲリ バッハの対位法作品出版に挑む
1 バッハのフーガと厳格様式への関心
2 一九世紀初頭のバッハ作品出版
3 ネーゲリの音楽美学と厳格様式
4 一七九〇年代における《平均律クラヴィーア曲集》への関心
5 ネーゲリの《平均律クラヴィーア曲集》への関心
6 一八世紀的バッハ受容の到達点
結論
1 本書をふりかえって
2 対位法観の変遷
3 バッハの作曲技法の正典化
4 バッハと対位法の美学
あとがき
参考文献
註
索引
1 一八世紀とバッハの対位法
2 一八世紀において対位法とは何だったか
3 本書の構成
第1章 ハイニヒェン 数学的音楽観としての対位法を批判する
1 数学的音楽観の黄昏、ギャラント概念の台頭
2 一八世紀前半の対位法批判
3 対位法理論からの脱却――ベルンハルトとハイニヒェン
4 「規則からの逸脱」を正当化する趣味
5 バッハのギャラントな音楽?
第2章 マッテゾン 対位法をめぐる伝統と革新
1 バッハとマッテゾン、二人の巨人
2 「旋律論」とは何か
3 自然と技巧――「カノンの解剖学」
4 自然と数学――『完全なる楽長』
5 旋律論と対位法理論
6 バッハからマッテゾンへの応え
第3章 マールプルク 「ドイツ、フーガ、バッハ」を語る
1 バッハを崇拝するベルリンの音楽家たち
2 「ドイツ、フーガ、バッハ」のトポスの形成
3 フーガの普遍性の提起
4 ドイツ性と普遍性の交点
5 トポスのゆくえ
第4章 キルンベルガー バッハの作曲技法を継承する
1 『純正作曲の技法』、あるいはバッハの作曲技法
2 「純正」とは何か
3 「表現の多様性」と教会旋法
4 「表現の多様性」と四声書法
5 教会旋法と過去の教会音楽の探究
第5章 ライヒャルト バッハ批評の異端児
1 疾風怒濤時代のライヒャルトとゲーテ
2 バッハ評の意義と射程
3 バッハ評とゴシック
4 「真の教会音楽」への憧憬
5 ロマン主義的バッハ解釈へ
第6章 ネーゲリ バッハの対位法作品出版に挑む
1 バッハのフーガと厳格様式への関心
2 一九世紀初頭のバッハ作品出版
3 ネーゲリの音楽美学と厳格様式
4 一七九〇年代における《平均律クラヴィーア曲集》への関心
5 ネーゲリの《平均律クラヴィーア曲集》への関心
6 一八世紀的バッハ受容の到達点
結論
1 本書をふりかえって
2 対位法観の変遷
3 バッハの作曲技法の正典化
4 バッハと対位法の美学
あとがき
参考文献
註
索引