[5]敗戦から高度成長へ

敗戦~昭和中期

戦後の宗教状況を規定したGHQの政策とは。そして、戦後の高度経済成長下での生活と宗教、政治と宗教の関係はどうだったのか。

著者 島薗 進
末木 文美士
大谷 栄一
西村 明
ジャンル 仏教 > 仏教一般
宗教
シリーズ シリーズ(仏教・宗教) > シリーズ近代日本宗教史 〈全6巻〉
出版年月日 2021/03/24
ISBN 9784393299654
Cコード 0314
判型・ページ数 A5・296ページ
定価 3,630円(本体3,300円+税)
在庫 在庫あり
近代日本宗教史第五巻では、敗戦後のGHQ統治から高度経済成長による奇跡の復興という現代の少し前までの宗教現象を扱う。敗戦後の占領統治下における神道指令や日本国憲法の制定などにより、政教分離や真の信教の自由が保証されることとなった。その結果生じた新宗教の乱立は「神々のラッシュアワー」として知られる。そこで生まれた新宗教は高度経済成長のなかで地方から都市に移ってきた新しい住民を取り込んで力を持っていく。一部の新宗教は政界に進出し、現在にいたるまで力を発揮している。高度経済成長による三種の神器の普及に代表されるようなライフスタイルの変化は、映画からテレビへの大衆メディアの変化を促し、その内容は時代に影響された宗教性を持っている。戦死者の慰霊は戦前日本から戦後日本へ引き継がれた問題であるが、政教分離のなかでどのような解決が模索されたのだろうか。その問題の中心は靖国神社である。

●本書は電子版もございます。


「じんぶん堂 powered by 好書好日」に関連記事を掲載しました
 → 「新たな近代日本宗教史の展望・上 宗教教団ではない宗教性への関心」
 → 「新たな近代日本宗教史の展望・下 「近代」「日本」「宗教」の捉え返し」
巻頭言

第一章 総論 ――体制の転換とコスモロジーの変容 西村 明
  一 「戦後」宗教史という枠組み 
  二 「敗戦後」の出現と「宗教」の再編成
  三 新しい神々と、伝統宗教の再出発
  四 神社と祭の変容
  五 時代の懊悩と応答
  六 本書の構成

第二章 占領と宗教 ヘレン・ハーデカ
  一 占領統治の始まり
  二 日本国憲法の中の宗教
  三 信教の自由の範囲を探る ――璽宇の事例
  四 戦後宗教の平和への呼びかけ
  五 占領政策の衝突 ――農地改革と信教の自由
  六 戦後における「懺悔」のテーマ
  七 戦争記念碑の撤去

――コラム① 国旗・国歌 辻田真佐憲

第三章 戦後政治と宗教 中野 毅
  一 はじめに ――二つの戦後
  二 戦後体制と「公式の戦後世界」
  三 保守政治と宗教 ――「非公式な戦後世界」の顕在化
  四 新宗教による政治参加の活発化 ――公明党の登場とその影響
  五 一九七〇年代の激動と右派の台頭
  六 おわりに

――コラム② 道徳教育と宗教 齋藤知明

第四章 戦後知識人と宗教 ――吉本隆明の親鸞論 中島岳志
  一 はじめに
  二 詩・宗教・大衆
  三 親鸞の極北
  四 おわりに

――コラム③ 戦後キリスト教と人権思想 森島 豊

第五章 戦後の宗教とジェンダー 猪瀬優理
  一 はじめに
  二 日本におけるジェンダー
  三 戦後の宗教と「ジェンダー秩序」
  四 戦後宗教のジェンダー再編とその課題
  五 おわりに

――コラム④ 戦後日本の仏教学 ――国体論から国際論へ オリオン・クラウタウ

第六章 慰霊と平和 西村 明
  一 敗戦からの出発
  二 神道指令と靖国神社・護国神社
  三 敗戦直後の日本宗教連盟の動向
  四 千鳥ヶ淵戦没者墓苑の世俗性と宗教性
  五 一九六〇~七〇年代の展開と反動
  六 戦災死者の慰霊・追悼と平和祈念

――コラム⑤ 石牟礼道子と霊性 萩原修子

第七章 都市化と宗教 ――高度経済成長期の東京を中心に 寺田喜朗
  一 はじめに
  二 都市化と都市的生活様式
  三 東京の都市化 ――人口動態と産業構造
  四 高度経済成長期に普及した日本型の都市的生活様式
  五 都市化と伝統宗教 ――氏子・檀家としての意識・行動
  六 都市化と新宗教 ――立正佼成会と創価学会を中心に
  七 まとめ

――コラム⑥ 山岸会とコミューン 島田裕巳

第八章 大衆的メディアの時代の宗教表象 姜 竣
  一 はじめに
  二 天理教と戦後という時代
  三 霊媒(ミディアム)からメディアへ
  四 不可能なる肖像をめぐって ――結論にかえて

――コラム⑦ カルト問題と関わった三〇年(一九八九~二〇一九) 櫻井義秀

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