〈第九〉誕生

1824年のヨーロッパ

著者 H. サックス
後藤 菜穂子
ジャンル 音楽書 > 音楽史・音楽学
出版年月日 2013/08/30
ISBN 9784393931912
Cコード 0073
判型・ページ数 4-6・336ページ
定価 3,080円(本体2,800円+税)
在庫 在庫僅少
今や年末恒例の風物詩・第九。バイロンの死の直後に初演された第九は、西洋文化史を一変させる衝撃作となった。当時の政治状況と、同時代の詩人・画家の証言から、第九誕生の背景とそこに込められたメッセージを探る。ワーグナーなど後世の音楽家への影響も。


装幀:本田進

【本文より】
1824年5月7日、〈第九〉初演。そのとき、喝采をおくった多くの聴衆はおろかベートーヴェン自身も、この曲がどれだけの偉業を成し遂げたのかを把握していなかったにちがいない。三週間後の再演は客席の半分も埋まらなかった。失望するベートーヴェン。しかし〈第九〉は、棚の上で埃をかぶったままにはならなかった。最初はゆっくりであったが、やがて速度と勢いを増して、創作者の人生とは別の、独自の人生を歩み始めたのである。
はじめに

I 〈第九〉初演の日――1824年5月7日

1 「ウィーンの最新のニュース」
「時の人」ベートーヴェン/自負と不安/初演当日の曲目とソリスト/当惑する演奏者たち/本番

2 「オーストリア人のあほうどもめ!」
不機嫌な作曲家/第九初演を嘆願したウィーンの名士たち/問題山積の初演/成功か、失敗か

3 「私を苛め続けるこの苦悩」
少年ルートヴィヒ/若き音楽家として/ウィーンへ!/ハイリゲンシュタットの遺書/ロマン主義者の旗印/ベートーヴェンの成し遂げた革命/覚醒への道/人間嫌いと、人類への愛と/作品と人生

Ⅱ 1824年のヨーロッパ

1 会議は踊る
フランス革命とナポレオン戦争/ウィーン会議/英雄ベートーヴェン

2 ロマン主義=安堵+失望+抑圧?
スタンダールの描いた「ワーテルロー後」/芸術と政治:ヘーゲルの場合/レオパルディ:ヨーロッパの新しい均衡/危険思想=自由主義への抑圧/モンロー主義

3 自由への闘い
バイロン卿/個と公:バイロンとベートーヴェン/1824年4月、バイロンの死

4 絶対君主と反逆児
プーシキンとロシア皇帝/ボリス・ゴドゥノフ/絶望と抑圧、自由への希求

5 ナポレオン後のフランス
ドラクロワが描き出したもの/ボードレールのドラクロワ観/スタンダールとロマン主義

6 ハインリヒ・ハイネ
皮肉屋の現実主義者/パリ逃亡/ハイネとベートーヴェン/抑圧への抵抗


Ⅲ 〈第九〉のイメージ

1 音楽的なイメージ
音楽を物語で説明するということ/「音楽言語」の明瞭さ/ベートーヴェンの場合

2 音楽は何を伝えるのか
三大作曲家とベートーヴェン/芸術と職人芸

3 〈第九〉解読の試み
不穏な幕開け:第1楽章/緊迫と、一瞬の休息/芸術を超越する瞬間/「無」の響き/変化:第2楽章/人生の美しさ:第3楽章/第4楽章/おお友よ、この調べではなく/想像力の彼方へ


Ⅳ 新たな始まり

1 ベートーヴェンとロマン主義

2 「ベートーヴェンのあとで一体なにができるだろう?」
シューベルト/ベルリオーズ/マイヤベーア/メンデルスゾーン/ショパンとシューマン/ワーグナー/ロッシーニとドニゼッティ/ヴェルディ

おわりに

人名索引
ベートーヴェン作品索引

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