ピアニストになりたい!

19世紀 もうひとつの音楽史

著者 岡田 暁生
ジャンル 音楽書 > 音楽史・音楽学
出版年月日 2008/10/25
ISBN 9784393931837
Cコード 0073
判型・ページ数 4-6・304ページ
定価 2,200円(本体2,000円+税)
在庫 在庫僅少
★☆平成20年度(第59回)芸術選奨文部科学大臣新人賞(「評論等」部門)受賞☆★

◆春秋社創業90周年記念出版◆

クラシック音楽の驚くべき裏面史。

世俗超越の精神性をあれほど重んじた「ロマン派の世紀」は、同時に、「これさえやれば誰でもできる」と謳った膨大な数のマニュアル(バイエル、ハノン、ツェルニー)、大リーグボール養成ギプスばりの手指強化器具、大人数を同時に教えるスパルタ音楽教室などが続々と生まれた時代でもあった。
今日へと続くピアノ教育がどこから生まれ、何を志向し、その過程で芸術がどのように変質していったのか、緻密な文献調査と圧倒的な筆力で描きだす好著。

装幀:中山銀士
第1章 「よい演奏」とは何か……19世紀以前への一瞥

音楽を正しく読む 18世紀の演奏美学
ツェルニーが教える「正しい朗読法」虎の巻
シュナーベルはシューベルトをどう弾くか

第2章 勝ち組になるのは誰?……ピアニストの誕生と演奏美学の変貌

「ピアニスト」はいつ生まれたか
サロンの虚栄と香水 鍵盤のラスティニャックたち
真面目な曲を弾いても儲けにならない?
コンクールの始まり
拍手がもらえればそれでいいのさ ブリリアントに弾く秘訣
演奏の場の解体 香具師としてのヴィルトゥオーソ?

第3章 毎日ドレドレミレミレ……指体操が始まるとき

「これさえやればあなたも出来る!」 マニュアルの誘惑
練習「曲」ではまだ甘い? 指ドリルの誕生
10本の指は平等になるべき? 均質化と強化の思考
オン/オフ操作と均質思考

第4章 指強化器具と人体改造の思想

「上げて下げて、上げて下げて!」 指練習と軍隊教練
ヨハン・ベルンハルト・ロギールという男
指矯正器具狂詩曲
究極の「人体改造」

第5章 聞くも涙、語るも涙の音楽院

公務員供給機関としての音楽学校
ピアノ・レッスン小史
音楽学校の実態?
血と汗と涙の音楽学校ピアノ科

第6章 体操と指ドリルとロマン派と……19世紀音楽の根本原理について

身体訓練史としての19世紀ピアノ教育史
体操の歴史への一瞥
ピアノを弾く少女たち
「分解・反復・強化」という深層構造
精神の解放という夢/悪夢

*****

付論 ピアノはどんな手で弾かれてきたか

ツェルニーやフンメルの時代
モシュレスからリストへ
19世紀アカデミズム
いわゆるハイフィンガー・タッチ?
シュナーベルとフェイの証言
疲労するほど鍛えられる?
世紀転換期におけるアカデミズム批判
ブライトハウプトの自然奏法
ゴドフスキの体験


あとがき
略年表
人名索引

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