ロールズ正義論とその周辺
コミュニタリアニズム、共和主義、ポストモダニズム
ロールズの革命的な「正義」の理論は、巨大な反撥をも惹き起こした。法哲学者ハートや功利主義者ハーサニらから浴びた集中砲火のなかで、ロールズの理論はどう磨かれていったのか。共同体主義者サンデルや哲学者ハーバーマスとの激論はなぜすれ違いに終わったのか。ロールズ「正義論」をめぐる論争をたどることで、共同体主義、共和主義、批判理論の要点を学ぶと同時に、誤解と悪意に満ちたロールズへのいわれなき攻撃を撃破、さらにロールズの初期思想から深い断念の果てに到達したリベラリズムの極北までを明快にでつづって、リアリスティックな理想主義者ロールズの全体像を明らかにする。