[校注]江戸黄檗禅刹記
江戸時代(1654年)に中国より隠元禅師(黄檗派の祖)が渡来し、江戸にも黄檗派の寺院が建立されるに至ったが、当時は新寺の建立は禁止のため、他宗派の寺院を黄檗派の寺として再興するという手段がとられた。『江戸黄檗禅刹記』は、鳥取の大名・池田定常がこれらの寺院の様子を1827(文政10)年に寺誌としてまとめたもの。文章は、漢文にかなまじり文が混在し、変体がなも多く使用されて難解なため、より読みやすい形で刊行したのが本書である。 『江戸黄檗禅刹記』は九巻からなっており、27の寺院と了翁の勧学屋が収録されている。このうち現存している寺院は9カ寺である。なお、このうち2カ寺が黄檗宗を離脱している。本書は、 江戸時代の仏教界の様子を知るには貴重な資料である。