こころに響く音の謎。日本人の脳と身体に眠る驚きの秘密とは。
倍音
いま「感じているのに聞こえていない」音、倍音。
とても身近にあるのに、いまだその存在が知られず、またほとんど利用されていないもの。あらゆる音の「音色」を作り、深層心理・脳・身体に強い影響を与え、感情や思いを伝えるもの。私たちの聴覚の世界を源から創造しているもの。それが倍音です。
その不思議で豊かな世界を、いまから少しだけご紹介したいと思います。
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とても身近にあるのに、いまだその存在が知られず、またほとんど利用されていないもの。あらゆる音の「音色」を作り、深層心理・脳・身体に強い影響を与え、感情や思いを伝えるもの。私たちの聴覚の世界を源から創造しているもの。それが倍音です。
その不思議で豊かな世界を、いまから少しだけご紹介したいと思います。
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人間はこれまでの歴史において、「目に見えないもの」を克服することによって前進してきました。古代では「空気」や「生命」、近代では「引力」「電気」「細菌」などの発見、ならびにメカニズムの解明により、文化・文明を発展させてきたのです。現代においては分子生物学により「遺伝子」の秘密が解明されつつあり、また世界中は情報ネットワークによってつながっている。もはや未開の荒野は見渡してみても見つからないように思えます。けれど、本当に大事なものは「目に見えないもの」。そうです。音、つまりは聴覚の世界に謎が残されているのです。
シタール(上)と三味線(下)。いずれも倍音が出るように工夫がなされている。
ごく簡単に言って、音とは「空気などの圧力の変化が人間の耳などに伝わったとき、それが音として知覚された」ものです。圧力の変化は振動(波動)で、1秒間に何回振動したかによって「ヘルツ」という単位で表されます。大事なのは、「音」と言った時、たいてい「ひとつの音」があるとイメージしてしまいますが、ドならドでもそれが音として響く時は複数の音から成り立っているということ。この複数の音がどのように含まれているかによって音色がつくられ、その音色をつくっているのが「倍音」なのです。[詳しくは本書第2章へ]
人間の脳は、一般的に左脳が言語を司り、右脳が空間・音楽の認識などを行う、と言われてきました。ところが研究により、日本人と外国人では、音の種類により、反応する脳の部位が異なることがわかったのです(角田忠信[医学博士]氏らによる)。まず、西欧人は言語を聞いたときは左脳で反応する。一方、西洋楽器の音、泣き声、自然音、雑音はすべて右脳で反応しています。対して日本人は、西洋楽器の音、機械音、雑音が右脳で、それ以外はすべて左脳で反応している。一体これほどまでの違いはどこからでてくるのでしょうか。
[詳しくは本書第2章へ]
B’Zの稲葉浩志、郷ひろみ、浜崎あゆみ、氷川きよし、倖田來未、彼らには共通点があります。また、森進一、八代亜紀、桑田佳祐、宇多田ヒカル、CHAGE and ASKAのASKA、彼らにも共通点があります。彼らはそれぞれ、ある種の倍音が強く響く歌声を持っているのです。さらに、そうした倍音をコントロールして歴史に残る歌声を響かせたのが、美空ひばりと都はるみだったのです。オリコン年間ランキングにおける驚愕の真実も明らかに。[詳しくは本書第3章へ]
かつてそのカリスマ性で絶大な支持を得ていた二人の政治家がいました。一人は田中角栄元首相。もう一人は小泉純一郎元首相。彼らの人気の裏側にも倍音の力が潜んでいました。またタモリ、明石家さんま、ビートたけし、彼ら大物芸能人が長く活躍できているのにも倍音が影響しています。ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、爆笑問題というコンビにおいても、私たち聴衆は彼らの倍音の掛け合いを潜在的に聞いて笑っていると言ったら驚かれるでしょうか。
[詳しくは本書第3章へ]
私たちは通常、音は耳で聴くもの、と思っていますが、もともと音とは「圧力の変化」から生じており、それが振動になったものです。振動ですのでそれは耳だけではなく皮膚にも伝わります。つまり、皮膚でも「聴いている」のです。大橋力氏(国際科学振興財団首席研究員、文明科学研究所所長)の研究によると人間の耳では聞こえない音・高周波(高次の倍音)は皮膚から脳に伝達されます。そして脳を活性化させる。そうした高周波を聴いているとストレスや不愉快な気分がなくなり、リラックスし、免疫力が高まり病気になりにくくなります。ちなみにCDでは高周波がカットされてしまうので効果はでにくくなります。ですから、生の音に触れることが大切なのです。[詳しくは本書第2章へ]
上から一節切、二・三番目は尺八で、それぞれ一尺八寸管、三尺一寸管(いずれも著者蔵)
なぜ日本人はスイカを叩いて味を見分けるのか、日本の畳・襖の空間では音はどのように響くのか、日本人の呼吸法の秘密、マンガの吹き出しと音の世界、江戸時代に爆発的に広まった尺八の謎、「絶対音感」と倍音の関係、などなどいままで知らなかった音の世界がどんどん明らかになります。詳しくは本書でお楽しみください。
作曲家。尺八演奏家。
横浜国立大学工学部応用化学科卒(量子化学専攻)。
横山勝也師、多数の虚無僧尺八家に師事。米国バークリー音楽大学にて作曲とジャズ理論を学び、最優等賞で卒業。米国ニューイングランド音楽院大学院修士課程作曲家およびサード・ストリーム科で奨学生として学ぶ。
虚無僧に伝わる尺八音楽の採集・分析・演奏をライフワークとしつつ、ロック、ジャズ、クラシック、現代音楽、等に幅広く活躍。外務省・国際交流基金の派遣などにより、クイーンエリザベスホール(ロンドン)、リンカーンセンター(ニューヨーク)、ブルーノート(ニューヨーク)、ケネディセンター(ワシントンDC)、ベルリン・フィルハーモニーホール、ポーランド国立歌劇場など、世界30ヶ国余で公演。世界40局余の放送局に出演。150都市以上で公演。
自ら捜しあて極めた日本古来の呼吸法「密息」と、独自に開発した方法による循環呼吸(吹きながら同時に息を吸い、息継ぎなしに吹き続ける技術)を自在に操る。
作曲家としても活躍し、NHK、ドイツ国営放送、フランスのラヴェル弦楽四重奏団、フィンランドのジャン・シベリウス弦楽四重奏団、ドイツのムンク・トリオ、フランスのサン・フロラン・ル・ヴィエイユ・フェスティバル、カナダのマーギー・ギリス・ダンス・カンパニー、米国のミュージック・フロム・ジャパンなど、各方面より委嘱を受け、その作品は、管弦楽曲、合唱曲、弦楽四重奏曲、ピアノトリオ、ビッグバンドなど、多種多様。
文部科学省の中学校学習指導要領解説音楽編作成に携わる。
文化庁芸術祭レコード部門優秀賞(2回)。文化庁舞台芸術創作奨励賞。
コロムビア・ゴールデン・ディスク賞。松尾芸能賞。
洗足学園音楽大学大学院講師。桐朋学園芸術短期大学講師。日本現代音楽協会会員。
オフィス・サウンド・ポット
URL:http://www.kokoo.com
ISBN:978-4-393-97034-8 2,940円
声明の歴史や難解な声明楽理などを天台声明中心にわかりやすく解説し、天台顕教声明の代表作「引声阿弥陀経作法」「声明例時作法」の一部を収録したCDを付した声明入門。
ISBN:978-4-393-93493-7 2,415円
ラジオの生放送から、ハイテク音響機器を駆使したBS時代へ、激動の放送文化を支え続けた一人の音響効果マンの昭和・平成戦記。「生音の魔術師」の音作りの至芸を一挙公開。
ISBN:978-4-393-97017-1 2,100円
古来、神社で毎日必ず唱えられてきた〈大祓詞〉。無心で唱えることで、日本語の持つ〈本当の力〉を取り戻す。春日若宮御出現一千年祭における「大祓奏上」のライブを収録。
ISBN:978-4-393-93016-8 2,625円
縄文・弥生・古墳時代から中世・近世までの遺跡から出土した楽器に魅せられて十数年。土鈴、石笛、銅鐸、琴、筑状弦楽器等を列島各地に訪ね歩いた、ロマン溢れる調査見聞記。
ISBN:978-4-393-93465-4 2,100円
クラシック音楽のCDは、どんなふうに作られているのか? 多くの演奏家に愛され、ウィーンを中心に国内外で活発なレコード制作を行うプロデューサーが語る、音楽の真髄。
ISBN:978-4-393-93539-2 1,890円
音風景の提唱者による子ども向けワークブック。身近な日常の音・自然の音に耳を澄まし、柔らかで優しい感性を取り戻す。シェーファーの最新エッセイとワーク実践例を増補。
ISBN:978-4-393-93023-6 2,625円
西洋音楽を輸入した明治政府の目的は、芸術の振興ではなく急進的な中央集権国家の確立にあった。音楽教育の礎を築いた人物の生涯から、音楽が国家形成に果たす役割を考える。
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